天気の話はもうやめよう!テレアポのアイスブレイクは2回目架電でこそ真価を発揮する
もしかすると「テレアポ アイスブレイク」と検索してこの記事にたどり着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 実はそれ、罠です。
ネットで拾えるアイスブレイクの例文は、実践では使うのが難しい場合がほとんどです。
「じゃあどうすりゃいいの?」「そもそも初対面の電話で雑談なんて無理ゲーでは?」と思いますよね。そんな方に向けてこれだけはお伝えしたいのですが、アイスブレイクが真価を発揮するのは、1回目の電話ではなく2回目以降の架電なんです。
なぜ2回目が重要なのでしょうか。今回はアイスブレイクを通じて、顧客との心の距離をグッと縮めるチャンスを掴むための心得をお伝えします。
アイスブレイクとは?テレアポにおける本来の目的
教科書的に言えば、アイスブレイクとは初対面や会議の場などで、緊張をほぐしコミュニケーションを取りやすくするための雑談や手法のことです。面接の冒頭、研修のオープニング、商談の出だしなど、場の空気を温めて、本題に入りやすくするためのテクニックとして知られています。
ただ、筆者はインサイドセールスの現場においては、もう少し踏み込んだ定義をしています。テレアポにおけるアイスブレイクとは、「無理に笑いをとることではなく、顧客と自分の間に”共通の認識”を作るための確認作業」です。
ちょっと地味に聞こえるかもしれませんが、ここを理解しているかどうかで、アポ獲得率はまったく変わってきます。
「天気」「時事ネタ」「アイスブレイク例文集」がテレアポでスベる理由
「今日は暑いですね〜」「〇〇のニュース、見ました?」
こうしたアイスブレイクを、テレアポの現場で使ったことはありませんか?
筆者は新人の頃、まさにこれをやって大火傷しました。以前自分が架電した顧客で、リストには「前回資料送付済み」としか書いてなかったんです。もう少し関係構築を測るために「いや〜、今日は暑いですね! 御社の方でも熱中症対策とかされてます?」って言ったんですよ。
そしたら2、3秒くらい沈黙のあと、「……あの、何の用ですか?」と。声のトーンが明らかに落ちていました。あのときの背筋が冷える感覚は今でも覚えています。
テレアポは相手が「聞く準備」ができていない状態で電話をかけているということを忘れてはいけません。いきなり知らない番号から電話がかかってきて、天気の話をしたら「何この人?」と警戒されるのも仕方ないですよね。
アイスブレイクの本当の目的は「共通認識のすり合わせ」
では、テレアポにおけるアイスブレイクの目的は何なのか? それこそが「共通認識のすり合わせ」です。つまり「私とあなたは今、こういう関係ですよね」という土台を作ることです。
たとえば2回目の電話であれば、「前回お電話した〇〇です。前回は△△というお話をさせていただいたんですが」と、前回の接点を振り返ってみる。これだけで「ああ、あのとき電話してきた人か」と共通認識ができて、会話のスタートラインが揃います。
必ずしも場を和ませる必要はなく、「私たちの間にはすでにこういう接点がありますよ」という事実を共有すること。これがテレアポにおけるアイスブレイクの本来の目的だと考えています。
2回目架電で「覚えてますか?」が言えない営業の悲劇
1回目の電話で「資料送りますね」「また改めます」と終わったあと、数日後にもう一度架電して追いかけるという手法はテレアポの定石です。そのときの「覚えてくれてるかな……」という不安、めちゃくちゃお気持ちも分かります。
ここがインサイドセールスにおける追客の最大の壁ですが、思った以上に相手は自分のことを覚えていないものです。そこで、はじめにアイスブレイクの前に営業が持つべきマインドについてご紹介します。
人間の記憶は儚い…「エビングハウスの忘却曲線」を前提にせよ
まずは残酷な事実をお伝えします。
心理学者エビングハウスが発見した「忘却曲線」によると、人間の記憶は1時間後に約56%、1日後に約67%、1ヶ月後には約79%が失われると言われています。
ましてや電話は音声のみのコミュニケーションですので、人間が持つ五感のうち、聴覚だけで認識しています。相手にとっては顔も見えない、名刺も交換していない知らない人から突然かかってきた電話の一つにすぎず、記憶に残る要素がどうしても少なくなります。
つまり、1週間後に2回目の電話をかけたとき、顧客があなたのことを覚えている確率は極めて低いのです。これは個人の魅力の問題ではなく、人間の脳の仕組み上、仕方ありません。
「忘れられている前提」で話すから、心に余裕ができる
「覚えてくれてるはず」という思い込みは、アポインターの期待値を上げてくれる一方で、「忘れられていたらどうしよう……」というプレッシャーになっています。
ここは逆に考えて、「顧客は自分のことを覚えていない」というマインドを前提として持つのおすすめです。そうすると、不思議と心に余裕ができて、「覚えてない」と言われても慌てない。むしろ、そこからがラポール構築のスタートだと捉えることができます。
この心の余裕が、2回目架電のアイスブレイクを成功させる最大のポイントです。
アポ率を劇的に上げる「2回目架電のアイスブレイク」の型
マインドをお伝えしたところで、ここからは具体的なテクニックをお伝えします。
あえて「覚えてます?笑」と聞いてみる
2回目以降の電話では、冒頭でこう切り出してみてください。
「前回お電話させていただいた〇〇です。覚えてますか?笑」
これ、最初はかなり勇気がいると思います。でも、この一言が忘れられているリスクを逆手にとった、めちゃくちゃ強力なアイスブレイクになります。なぜなら、この質問は2パターンしか答えがないからです。
【パターン1】「ああ、覚えてますよ」 【パターン2】「えーっと……ちょっと覚えてないですね」
実際の会話で再現するとこんな感じになります。
【パターン1の場合】
セールス:「お世話になっております。先週お電話させていただいたJYAMの橋本です。僕のこと覚えてますか? 笑」
顧客:「ああ、はいはい。クラウドツールの話をしてくれた方ですよね」
セールス:「そうです! 覚えてくださっててうれしいです。前回、御社でエクセル管理の工数のお話をされていたじゃないですか? 実はそのあたりの改善事例をお持ちしたんですが……」
こんな感じで相手が何の話だったかを覚えてくれていれば、土台を揃えるステップを省略して一気に本題まで入りやすくなります。この流れができると、めちゃくちゃスムーズですよね。
「あ〜、忘れてますよね!笑」からの鮮やかなリカバリー
ではパターン2の場合はどうすればいいのでしょうか。むしろこの場合こそが、アイスブレイクにおけるテクニックの真骨頂といえます。
【パターン2の場合】
セールス:「先週お電話した〇〇の橋本です。覚えてますか? 笑」
顧客:「すみません、ちょっと分からないです」
セールス:「あ〜、忘れてますよね! 笑 いや、突然お電話した変な人なんで当然です。実は先週、御社が今エクセルで勤怠管理されているっていうお話を伺いまして。その後、似た規模の会社さんで工数が半分になった事例が出てきたので、ちょっと共有したくてお電話したんです」
顧客:「ああ、はいはい。なんかそんな電話ありましたね」
ここがポイントなんですが、「私が突然電話した変な人」という自虐交じりの共通認識を、笑いと一緒に作る。これをやると、不思議なことに相手のガードが下がるんです。
さきほども説明したとおり、「営業電話をかけてくる人」は相手にとって「何も知らないけど急に電話をかけてきたやつ」なんです。でも、「自分のことを”変な人”と言える人」って、ちょっと人間味がありますよね。少なくとも、マニュアルを棒読みしてくるBOT的な営業とは違う。この「違い」が、テレアポにおける関係構築の第一歩になります。
前回電話の「NG理由」が最強のフックになる
もう一つ、2回目架電のアイスブレイクで絶対にやってほしいことがあります。それは、前回のNG理由をフックにすることです。
実は「資料見ましたか?」と聞くのは愚策です。大半の人は見ていないか、ページをなんとなく流し見して詳細を読んでいないからです。「いや、見てません」と言われたら、会話を広げようがなくなってしまいますよね。
代わりにこう聞いてみてください。
セールス:「前回お電話した〇〇の橋本です。覚えてますか? 笑」
顧客:「ああ、工数管理の件の……」
セールス:「そうです、ありがとうございます! 前回、”4月の組織改編が終わるまでは新しいツールの検討は難しい”っておっしゃってたと思うんですが、5月に入りましたので様子を伺えればと思いまして。その後どんな感じですか?」
顧客:「ああ、そうそう。実はちょうど……」
セールス:「前回は”◯◯”というお話だったと思うんですが、その後いかがですか?」
これをやると、顧客の反応がまったく変わります。なぜなら、「この人は自分の会社の事情を覚えてくれてるな」と感じてもらえるからです。
この記事の最初で、ネットで拾えるアイスブレイクの例文は罠とお伝えしました。ここまで読んでいただけた方ならきっとその理由が分かっていただけたかと思いますが、アイスブレイクで伝えるべきことは顧客によって都度変わります。
前回のログ内容、たとえば断られた理由や、話の中で出てきた課題を引っ張ってくることで、「ああ、ちゃんと話を聞いてくれてたんだな」という信頼感が生まれます。1回目の電話で得た情報をリストに蓄積して、2回目以降の電話のWhy You(なぜあなたに再度電話しているのか)を明確にすれば、それ自体が強力なアイスブレイクになるんです。
よくある質問
Q. テレアポのアイスブレイクってそもそも必要ですか?1回目のコールドコール(初対面の電話)では、正直あまり必要ありません。相手は「この電話を何秒で切るか」しか考えていないので、余計な雑談は逆効果です。冒頭はフロントトークで「Why You(なぜあなたに電話したか)」を端的に伝えることに集中しましょう。一方、2回目以降の追客架電では、アイスブレイクがあるとないとで会話の入り口がまったく変わるので、積極的に取り入れることをおすすめします。
Q. 初回の電話で使えるアイスブレイクはありますか?強いて言えば、共通の話題として使えるのはリードソース(接点の起点)です。「先日の展示会でお名刺を交換させていただいた〇〇です」「セミナーにご参加いただきありがとうございました」のように、相手との接点を確認することが、初回における最も自然なアイスブレイクになります。これは雑談ではなく「共通認識のすり合わせ」なので、テレアポの本質に合っています。
Q. 「天気」や「時事ネタ」は絶対にNGですか? 「絶対NG」とまでは言いませんが、テレアポでは効果が薄いと思ったほうがいいです。対面の商談では場を和ませる効果がありますが、電話は相手の準備ができていない状態で始まるコミュニケーションです。天気や時事ネタを挟む余裕は、相手にはほぼありません。その数秒をフロントトークに使ったほうが、アポ獲得率は上がります。
Q. 2回目の電話で相手が不機嫌そうだったらどうすればいいですか? 大前提として、不機嫌な理由はあなたのせいじゃないことがほとんどです。たまたま忙しいタイミングだったり、直前に嫌なことがあったり。そんなときは無理にアイスブレイクをしようとせず、「前回〇〇のお話をさせていただいた△△です。1分だけお時間いただけますか?」と端的に切り出すのがベスト。相手のペースを尊重することも、立派なコミュニケーションスキルです。
顧客の記憶に残るかどうかは、結局は「人間味」である
アイスブレイクのテクニックとして「覚えてます?笑」の型や、前回のNG理由をフックにする方法をお伝えしました。
でも、テクニックはあくまでテクニックです。最終的に顧客の記憶に残るかどうかを決めるのは、「人間味」だと、筆者は考えています。
人間味をつくるのは派手なトークでも、完璧なスクリプトでもありません。「忘れられて当然」という謙虚さと、「それでもあなたに提案したい、力になりたい」という熱量。この2つが共存しているコミュニケーションに人間らしさが宿るのだと思います。
ときには自虐を交えてアタックし続ける。忘れられても、前回のログを丁寧に残して、次に活かす。そんな地道な積み重ねが、やがて「ああ、あのとき電話くれた人ね」という記憶に変わる瞬間が来るはずです。
「うちもセールスチームのアイスブレイクをもっと磨きたい……」とお悩みの方は、ぜひお気軽に筆者のXにDMください。まずは詳しくお話を聞いたうえで、貴社にとっての最適解を提案させていただきます!