カルチャー起点の伴走支援 “みんなのお兄ちゃん”になり、経営にも入り込む

株式会社JYMでは、これまでさまざまなお客様の支援をさせていただきました。多くの実績が蓄積されてきたこともあり、JYMの支援の様子を定期的にご紹介します。
第1回目は、Web制作やブランディング事業を手がける株式会社FMCさんの事例です。
JYMの代表橋本とFMC代表の安東さんは旧知の仲で、今は両社が同じビルに入居するほど身近な関係性。スタートアップ、Web・IT企業が抱えやすい課題に対して、JYMはどのような支援を行ってきたのか。担当者である藤瀬がお届けします。
株式会社FMC
・2018年1月創業 ・10名(パートナー含め30名程度) ・Webサイト制作 / ブランディング / コンサルティング / アパレル / 音楽・マネジメント
【課題】 代表や役員が現場の業務に関わり、リソース状況が逼迫。本来、経営陣としてやるべき先を見据えた行動ができていない。
【解決法】 社員の日常業務の一部を標準化することで効率化し、コア業務にかけるリソースを増大。代表・役員が現場に関わる時間を削減していく。
【成果】 ・経営陣のリソース逼迫が緩和されたことで、自社のケイパビリティを整理し、経営戦略の見直しを行った。 ・各メンバーのコア業務のスキルが向上し、新規案件・大型案件を獲得へ。
先を見る余裕もない、経営陣の逼迫したリソース状況
左:JYM 藤瀬晶博、中:FMC 代表 安東裕二、右:FMC 李博煒
FMC_安東裕二(以下、安東):JYMさんとのお付き合いは、代表の橋本さんとの出会いからはじまっています。橋本さんが前職の会社員時代だったころ、あるビジネスマッチングイベントで知り合いました。
その後、いろいろな展示会に行くたびに、毎回違う会社のブースに橋本さんが立っていて、この人どこにでもいるなっていう不思議な存在でした(笑)。
JYM_藤瀬晶博(以下、藤瀬):その後、橋本が会社を立ち上げて、2022年の夏ごろにはじめて仕事の話をしたんですよね。
安東:そう。当時はFMCを立ち上げて5期目のとき。日々、ホントにバタバタしてました……。
藤瀬:はじめに、経営陣やマネージャー、メンバーの方々から課題をヒアリングしたんですが……本当にみんな切迫してました……。なかでも、経営陣のリソース状況の改善が急務でした。
安東:FMCは何が強みでどういう人たちの支援を行うべきか。そういったことを考える余裕もないぐらい慌ただしい状態でした。
ここから会社を発展させるためには、まずは経営陣が時間をつくって、先を見据えた動きをしていく必要がありました。
−−リソース状況改善のためのポイントはどんなところでしたか?
藤瀬:社内業務の標準化を行い、一人ひとりが本来やるべきコア業務に注力できるような環境にすることです。ディレクターはディレクション業務に時間をかけられるようにする、といったこと。
それまでは、安東さんが現場に入り込むこともありましたが、担当者が注力しやすい環境をつくることで業務レベルが上がり、経営陣の関わりが薄まっていくことが狙いでした。
コア業務への注力から提案力向上、大型案件受注へ
−−具体的にどんなことをしたんですか?
藤瀬:仕事の受け方や見積もりの作成方法、MTGの運用、営業におけるクロージング方法、お客様アンケートの実施など、いろいろなルールをつくりました。
たとえば、MTGの運用では事前にアジェンダを作成し、出席者に共有する。見積もり作成時に、全社共通のフォーマット・考え方を決めるなど、細かいルールを設定しました。
FMC_李博煒(以下、李):当初は、提案書をつくる際なども決まった社内ルールはなく、各メンバーのやりやすい方法が尊重されていました。そのため、一人ひとりが独自のやり方で作成していたんです。
それから提案の機会が増えつつあったタイミングに、効率化のためにも、藤瀬さんが提案書のテンプレート化を進めてくれました。社内で共通フォーマットを使用するようになりましたね。
他社のやり方を含めて、FMCに合った方法を採用してくれたため、とても勉強になりました。
藤瀬:ルールづくりによって、業務効率化につながり、提案にも力を入れやすくなりましたね。
李:お客様への提案時、藤瀬さんからアドバイスをもらって提案書をブラッシュアップする機会が増えました。それによって、2,000万円台の大型案件獲得にもつながりました。
なにより、金額の大小に限らず、新たなお客様との出会いが増えました。私たちの提案に共感し、一緒に仕事をしたいと思ってくださる方々と出会えることが、とても嬉しいです。
藤瀬:提案を工夫することで、クオリティが上がり、受注確度が高まっていく。成功体験が得られると積極的な提案マインドが生まれていく。その繰り返しによって、大きな案件を提案する機会が増え、受注につながりました。
今も昔も変わらずに、お客様との出会いを大切にしているからこそ、ポジティブな変化が起きていると感じます。
みんなのお兄ちゃんとなり、経営陣とメンバーの橋渡しをする
李:日々の業務の見直しだけでなく、私たちと個別面談もしてくれました。
安東:それが、めちゃくちゃ助かった。藤瀬さんは社員一人ひとりをよく見ていて、悩んでいたり助けを求めていたりしそうな人がいると、いち早く気付いて、個別面談をやってくれたんですよ。
経営陣が気付いていないアラートをキャッチし、空気を読みながら(笑)、面談結果の必要な内容を切り分けて共有してくれました。
李:案件を進めているなかで、迷いや疑問が生まれたとき、藤瀬さんに気軽に聞けたのは助かりました。
社内でも頼れる人はたくさんいますが、専門的であり第三者の視点を持った人が近くにいることはとても心強いです。
藤瀬:スタートアップ企業では、案件に関わりながら実践を通じて学ぶことが多いと思います。それに、Web制作の仕事は案件によって難易度が変わりやすいので、業務負荷の偏りが生じやすくなります。
すると孤立や軋轢が生まれやすくなる。私も過去に何度も孤立してきたので(笑)。
そのときに、第三者が状況をキャッチして、アドバイスをすることで、負荷軽減・孤立解消にもつながります。
安東:ホントにいろいろなことを見直してくれましたが、ひと言でいえば、「みんなのお兄ちゃん」みたいになってくれていた(笑)。
李:お兄ちゃん(笑)。
安東:FMCは経営陣とメンバーの間の管理職があまりいなくて、年齢的にも立場的にも離れていました。藤瀬さんは両者の間に入って、コミュニケーションをとり、橋渡しをしてくれました。
カルチャーを大切に。経営にも入り込む
−−今まで支援を受けてきて、JYMにどんな印象を持っていますか?
安東:みんな、ぱっと見はクレバーな雰囲気のくせに、ふつふつとした熱気があるんですよね、怖いくらい(笑)。それが頼もしい。
橋本さんは、どこに所属しているかわからないくらいいろいろな会社に入り込んで支援をしていたし。藤瀬さんも業界内の有名なWeb関連会社を渡り歩いて、めちゃくちゃに揉まれてきて今に至っている(笑)。
藤瀬:泥臭さのなかで、這い上がってきましたから(笑)。
安東:だからこそ、2人は業界のことをよく知っているんですよね。他社と比較したうえでFMCの強みを理解してくれたのが純粋にうれしかった。
藤瀬:FMCさんの強みは、経営理念にも掲げている「自分らしさ」ですよね。
アパレルや音楽などの事業をやっていること、オフィスの様子を見ていると、社員一人ひとりの個性が尊重されている様子がわかるんですよ。
「自分らしさ」を大切にする、そういうカルチャーがあることで、他社との違いが生まれやすくなります。
安東:いいこと言うね(笑)。
藤瀬:社員の一員の気持ちでいるので(笑)。
FMCさんへの支援のなかでは、カルチャーは常に意識していました。そこを無視して「なんでも挑戦する、やってみる」ことを強引に進めると、組織や人に合わないやり方を押し付けてしまう。するとハレーションが生まれ、マイナスになる。
たとえば、営業手法では、テレアポをするよりも、紹介営業や提案力を活かした営業の方がFMCさんに合っていると思うんです。
安東:いろいろな会社を見てきた人にそう言われ、「自分たちのカルチャーが強みになる」と気付かせてくれました。
藤瀬:会社のカルチャーには、経営陣の個性が色濃く反映されています。そこに惹かれて社員が集まってくる。
一人ひとりの個性を理解して活かすことで、企業の独自性・強さが生まれています。
安東:会社の強みやカルチャーを再認識したうえで、FMCは誰をターゲットとし、どんな戦略でアプローチをしていくかが明確になっていった。まさに経営に入り込んでアドバイスをしてくれましたね。
そして、その戦略を実現するために、日々の業務の在り方を見直してくれました。
JYMさんの支援は点で終わることなく、線となって続いている。さらに、メンバーを巻き込んで面で広がっているなって感じています。
土台は整った! さぁ次のステージへ
−−JYMがFMCさんの支援をしてきたなかで、みなさんはどんな変化を感じてますか?
安東:んー、たくさんあるから迷うな。
藤瀬:私が思うのは、みなさんが全員、前を向くようになったことですね。
安東:また、いいこと言うね(笑)。
藤瀬:(笑)。私が関わりはじめた当初は、正直、みなさんの気持ちが横を向いたり、後ろに向いたりしていました。でも今は、みなさんが前を向いて、同じ方向を見ている。その状況は、まさに土台ができあがってきた証拠。
その土台を活かしつつ次のステップでは、数字を上げ、事業を強固なものにしていく支援をしていきたいと思います。
李:日常業務が安定し、次のステップが見えてきたことですね。
FMCでは、現在、ディレクター職をはじめ、あらゆる職種の採用を行っています。今やっていることに加え、新しく入社してくる人たちの育成にも関わっていきたいと思っています。その過程で藤瀬さんの力を借りながら、着実にステップアップしていきたいです。
安東:ここまで、藤瀬さんと現場のメンバーで土台を作ってくれました。それによって、現場の効率性・生産性は向上し、自然と経営陣のリソースにゆとりが生まれ、会社の舵取りができるようになりました。
まさに、8期目に入って再スタートができる状況に。人材の採用・組織の拡大を目指しているなかで、これまでの土台を活かした、新たな伴走支援を期待しています。