放置されたハウスリストは宝の山!休眠顧客をアポに変える超実践的リストマネジメント術

橋本陽介
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「今月何件アポ取れたの?」 「もっと架電しろ!」

と上司に迫られるけど、新規リストはもう枯渇。仕方なくハウスリストの休眠顧客に電話をかけたら、「前にも断ったよね?」と冷たくあしらわれてしまう……

インサイドセールスをやっていると、この手の絶望、1回はありますよね。実はこの問題、「リストがない」のではなく「リストを使い捨てている」ことに原因があるかもしれません。

ハウスリストは使い捨てるものではなく、育てるものです。この記事ではハウスリストの育て方について、具体的な考え方をお伝えします。

なぜハウスリストは休眠顧客の墓場になるのか?

「もう架電先がない」「どうやってハウスリストを収集すればいいか分からない」これ、営業支援の相談でめちゃくちゃ多いセリフです。でもよくよく聞いてみると、リストが本当に「ない」わけじゃなく、リストが死んでいるだけなんですよね。

なぜリストが休眠顧客の墓場になってしまうのか、まずはそのメカニズムを一緒に見ていきましょう。

同じリストを何周もして怒られる「無限ループ架電」

⚫︎新しいリストがない ⚫︎仕方なく過去に断られたリストに再架電する ⚫︎「前にもいらないって言ったよね?」「もう何回目ですか?」と怒られる

これ、テレアポの現場では本当にあるあるですよね。

筆者は新卒の頃、1日300件架電をしろと言われていたのですが、最初の頃は何も考えずに2回、3回と同じ企業に電話をしたこともあります。先方にガチャ切りされるのは当たり前で、気づけば何も情報が更新されていないリストだけが残っていました。

無限ループしては「もう掛けてくるな」と言われ、次第に枯渇していくリストを眺めるしかない……あの瞬間は本当に辛かったです。

あの頃の自分にも教えてあげたいですが、これはリスト自体が悪いわけではないんです。

「受付NG」「担当不在」でリストを終わらせてしまう病

「どうせかけてもまた断られる」「受付NGだったから、もうこの会社はダメだ」

この心理もめちゃくちゃ分かりますが、受付NGと担当NGはまったくの別物です。

現場でよくあるのが、受付で1回断られただけで「見込みなし」のフラグを立てて放置してしまうパターンです。受付の方が「営業は繋がないルールなので」と言っただけで、そのリストをもう二度とかけられない”死にリスト”に入れていないでしょうか。

この記事を最後まで読んでいただくと、「なんてもったいないことをしていたんだ……!」という気づきが得られるはずです!

ハウスリストとは?ただの名簿ではなく「育てる畑」である

そもそもハウスリストとは、展示会、Webからの問い合わせ、過去の商談履歴などから獲得した、自社が保有する見込み顧客のリストを指します。外部から購入してきた新規リスト(コールドリスト)とは違い、一度は自社と何らかの接点を持った人たちの集合体です。

……と一般的には言われていますが、もう一段階考え方をブラッシュアップすることから始めましょう。ハウスリストとは、上から順番に電話をかけて使い捨てるティッシュのようなものではなく、水をやり、フラグを立てて育成し続ける畑だと考えてください。

この「畑」という感覚をどれだけ持てるかが、リストマネジメントの成否を分けると思います。

リストを「使い捨てのティッシュ」だと思っていませんか?

リストは営業の命であるにもかかわらず、多くのアポインターが「アポが取れたか/取れなかったか」の2択でしかリストを見ていません。

「受付の方に担当者が不在と言われたから」「担当者に『今は必要ない』と言われたから」という理由でアポにならなかったとしても、その電話の中で得られた情報は確実にあるはずです。

不在と言われたなら、いつならいるのか。「検討していない」と言われたなら、現状はどうやって管理しているのか。こうした情報を一切拾わずに「NG」と書いて次に行くのは、まさにリストをティッシュのように使い捨てている状態です。

ハウスリストの本来の意味と、購入リストとの違い

外部から買ってきたコールドリストは、相手が自社のことを一切知らない状態です。一方、ハウスリストに含まれる見込み客は、展示会で名刺交換をしたり、セミナーに参加してくれたり、少なくとも一度は自社と接点を持っている方々ですよね。

筆者の経験上、コールドリストのアポ率は0.5〜1.5%、ハウスリストからのアポ率は1〜3%程度です。この差を知るだけでも、ハウスリストに対する見方はガラリと変わるんじゃないでしょうか。

インサイドセールスが目指すべき「ストック型」のリスト運用

では、具体的にどうすればハウスリストを畑として育てられるのか。その答えがストック型のリスト運用です。。

焼畑農業の「フロー型」と、資産になる「ストック型」

リスト運用には大きく2つの考え方があります。 フロー型・ストック型の比較表

フロー型は、新規リストを買ってきて上から順番にかけ続けるだけ。まさに焼畑農業ですよね。

ストック型は逆に、1回の電話で得た情報をリストに蓄積して、2回目・3回目のアプローチの精度を上げていく運用方法を指します。複数回の接点が取れる状態を作ることで、リストを減らさず育てる状態に持っていくのがポイントです。

ストック型では、1回目の電話で必ずしもアポを取る必要はありません。たとえば「いまはエクセルで管理しているから必要ない」「4月の組織改編後じゃないと予算が分からない」といった何らかの情報を収集することが重要です。

そうすると2回目の電話で「前回、4月以降に検討されたいとおっしゃっていましたが、その後いかがですか?」と顧客の状態に合った切り口で架電できます。つまり、コールドリストをハウスリストに育てていくことが大切なんです。

コールドリストのアポ率は0.5〜1.5%、ハウスリストからのアポ率は1〜3%程度ということを踏まえると、長期的に見るとストック型のリスト運用がいかに効率的か分かっていただけるかと思います。

フラグは「営業主語」ではなく「顧客主語」でつける

ストック型リストを作る上で重要なのが、フラグのつけ方です。

ただし、「〇月に再架電する」「〇〇が担当」といった営業主語のフラグは、実はあまり意味がありません。なぜなら、それは営業側の都合であって、顧客の状態を反映していないからです。

つけるべきは「顧客が今どういう状態にあるか」を記録するフラグです。たとえばSaaSツールを販売している場合、こんなフラグが考えられます。 顧客主語のフラグ例から読み取れる仮説

このように、顧客の状態をフラグとして残すことで、次に電話をかける人が「この会社には何を話せばいいか」がすぐにわかる状態を作れます。

顧客の状態からアポのキーになる仮説を立てる

フラグを付けたら、次はそのフラグを使って仮説を立てます。

たとえば「エクセルで管理している」というフラグが付いている顧客に対しては、「エクセル管理の非効率さを感じているはずだから、工数削減の切り口でアプローチすれば〇〇%の確率でアポになるんじゃないか」という仮説が立てられますよね。

この仮説をもとにフラグを付与していくことで、次回以降のアプローチが格段に検証しやすくなります。「仮説通りアポになったのか、ならなかったのか」を追跡できるようになれば、全体のアポ率をさらに底上げできます。

「受付NG」だけのログは、未来の営業の呪いとなる

逆に絶対にやってはいけないのが、「キーマンNG」「受付NG」などしか書かれていないログを残すことです。次に電話をかける自分(または同僚)を地獄に突き落とします。

よくあるだめな例がこんな感じです。

ダメなログの例 ⚫︎「受付NG」(それだけ?何を聞いたの?受付の名前は?何時にかけた?) ⚫︎「不在」(いつ戻るか聞いた?担当者の名前は?) ⚫︎「NGです」(何がNGなの?) ⚫︎「忙しいと言われた」(いつなら落ち着くかは確認した?月末が忙しいのか、プロジェクトの繁忙期なのか) ⚫︎「資料送付済」(何の資料を送った?相手は何に興味を示していた?)

心の声を抑えきれなかったのですが、みなさんもこうしたログを見ると「なんでこうなった?」と思いますよね。次にこのリストに電話をかける人は何の手がかりもない状態でゼロからやり直しですから(冒頭で話した「無限ループ架電」はこうしてできあがります)。

誰が電話してもアポが取れる「端的なログ」の型

一方で「センスいいな!」と思うログは、端的に情報が残されていて、誰でもかけられる状態になっているもの。つまり「パス出し」ができている状態のログです。

良いログの例 ⚫︎担当:経理部田中部長。コンタクト済。現状エクセルで勤怠管理中。4月の組織改編で管理部門を新設予定。工数・予算がネック→工数削減の実績データがあればアポOK。来月下旬に再架電 ⚫︎「担当・佐藤課長。木金曜16時以降在席率高い。他社クラウドツール2社に興味あり。来期(9月)予算で検討の可能性。使いやすさを重視していそう ⚫︎受付・鈴木さん対応。担当者名不明だが”情報システム部の方に”で繋いでもらえそう。午前中は会議が多いとのこと。14時以降推奨

こういうログが残っていると、自分じゃなくても次に電話をかける誰かが「あ、この人にはこう話せばいいんだな」とすぐ動けますよね。

1度のNGで使い捨てずに、情報を収集して、丁寧に育てる。これこそがストック型リストで目指すべき状態です。

よくある質問

Q. ハウスリストとリード(見込み客)の違いは何ですか? リード(見込み客)は自社の商品・サービスに興味を持つ可能性がある個人や企業のことを指し、ハウスリストはリードの情報を蓄積・管理した自社保有のリスト全体を指します。要は、リードはハウスリストの中に含まれる一つひとつの顧客データで、ハウスリストはその集合体というイメージです。

Q. 枯渇したリスト(休眠顧客)を復活させる方法はありますか? 前回と違う切り口でアプローチすることです。たとえば前回の電話で「工数をエクセルで管理している」というフラグが残っていれば「あれからエクセル管理の工数でお困りのことが出てないかと思ってお電話しました」と顧客の状態に合わせた切り口で入れますよね。これだけで顧客の反応が変わる確率はぐっと上がります。

Q. リストは何周くらい電話していいものですか? 筆者はアンケート回答者のような確度の高いリストで5〜6回、それ以外で3回程度を目安にしています。ただし大事なのは回数よりも「毎回何か新しい情報を持って電話しているか」です。同じ内容で何周しても意味はありませんが、情報がアップデートされた状態で電話するなら、接点の回数は武器になります。

Q. 受付で断られたリストは、もうかけない方がいいですか? 「絶対に架電NG」という温度感でなければ、原則かけた方がいいです。受付NGは担当者NGではありません。時間帯を変える、バイネームで呼び出すなど、受付突破のテクニックはたくさんあります。たとえば「17時に戻ると聞いていたのですが」と、あたかも約束があったかのように話すだけでも、受付の対応は変わります。1回の受付NGでリストを捨てないように、とにかく情報収集を徹底しましょう。

リスト上の名前の向こうにいる「人間」を想像できるか

リストはExcelやCRMの画面上だと、ただの文字列にしか見えない気がしてきますよね。ですがその向こうには、日々の業務に追われて忙しくしている血の通った人間がいます。

今すぐ買ってくれる人だけを探してひたすら架電するのは、顧客のことを思いやった行動とは言えません。顧客の状態を想像してフラグを立て、次のためにログを残す。ハウスリストの育成には、そんな愛情こそが大切だと信じています。

リストマネジメントはテクニックでもありますが、根っこにあるのはリスト上の名前の向こうにいる人を想像できるかどうかです。この感覚を持てるかどうかで、長期的な営業成果がまったく違ってくるはずです!

「うちの会社でもストック型のリスト運用を実践したい!」という方は、ぜひご相談ください。筆者のSNS(X)のDM でもご相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。

橋本陽介
代表取締役

制作会社でインサイドセールスの構築および販売実践。その後広告代理店にて国内大手から、スタートアップまで200社以上のプランニングを手掛け、部門売り上げ倍増などの成果を元に事業責任を歴任。続くSEOコンサルティング会社で広報採用、アフィリエイト事業の責任者を歴任し社外取締役に就任、並びにJYMを設立。

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