インサイドセールスのコツ?それ、受付突破から始まってます!現場で拾った泥臭テクニック大全

橋本陽介
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日々インサイドセールに関わっているみなさま、 なんとなく架電していませんか? 「とにかく数だ!」と上司から捲し立てられ、やみくもにかけていませんか?

私も新人時代、毎日毎日がむしゃらでした。でも、一歩立ち止まって見つめ直すと、改善のヒントが見つかるんですよね。

今回は、日々テレアポに追われている方々に、現状改善のポイントやコツをお届けします。

 

インサイドセールスは「根性」より「型」

インサイドセールスは決して根性だけでどうにかなるものではありません。根性よりも目を向けるべき、大切なものがあるんです。

「数打てば当たる」は当たっても続かない

架電数だけにこだわることは本当に必要でしょうか?

たしかに、指標を設けて取り組んでいくことは重要ですが、「やみくも」にやっていると、ムダ打ちが増えて効率性が低下します。それにムダ打ちの中で断られ続けるのは、メンタルに来るんですよね。

数を追うだけでなく、相手の反応や自分の会話内容の客観的評価、他メンバーの工夫などから常に見直し・ブラッシュアップをしていくことが大切になります。新人の時は数をこなすことで会話に慣れるメリットはあり、新しいサービスや商材を広めいく段階では、数を重ねることで傾向が見えてくることも覚えておきましょう。

 小さな工夫が「大きな成果」になる理由

顔が見えない相手との会話では、ちょっとした工夫によって、電話口で与える印象が大きく変わります。

●スピード…早いと焦った印象・一方的な印象を与えるため、「少しゆっくり目」に話すことで安心感を与えることができます。 ●抑揚…単調な話方を避け、話の内容によって緩急付けることを意識しましょう。特に伝えたい大切なポイントは、意識的に抑揚を付けると良いでしょう。 ●声のトーンや明るさ…口角を上げて1トーン上の声で話す笑声(えごえ)で話しましょう。 ●話す・聞くことのバランス…「話す」に集中せず「聞く」ことを意識しましょう。質問の仕方を工夫し、会話を引き出すことがポイント。 ●枕詞…相手の状況に配慮し、警戒心を和らげる前置き言葉が有効です。

決してどれか一つが優れているだけではいけませんし、相手の立場や状況によって細かな調整をしていく必要があります。まずは、違和感や不快感を与えないよう、これらのポイントをバランスよく高めていきましょう。

型とは「仕組み化された職人技」である

勉強やスポーツ、料理などにはお手本があります。はじめはお手本通りにやりながらも、途中から自分なりのアレンジを加えることで、成果が伸びることがあります。

これは、インサイドセールスの架電も同様。

成果をあげている上司や他メンバーの会話と自身の会話の何が違うのか。自身がうまくいったケースは何がよかったのか。分析・言語化してみましょう。そこから導き出される、再現性のある工夫・テクニック・アレンジはあなたの型となりえるのです。

「受付突破」は準備8割!職人技で攻めるべし

インサイドセールスでは、「受付突破」が大きなポイントになります。受付に断られるケースが続くと、挫折感を感じることもありますよね。ここでは、受付の突破率を上げるポイントを解説します。

受付は「突破」じゃなく「納得」を得る場

受付突破と言っておきながら、突破という言葉は、よくないですね。

受付は、理解と協力を得る存在です。話の内容を理解してもらい、担当者につないでもらう必要があります。そのためには、担当者に疑問を抱かせるのではなく、「納得感」を与えることが何よりも大切です。

第一声で印象は激変

人と人コミュニケーションの中では、受け取る情報のうち、視覚が約5割、聴覚が4割、言語が1割の影響を与えると言われています。つまり、電話コミュニケーションは聴覚・言語の約5割の”印象”が相手の判断に大きな影響をもたらしています。

ゆえに、受付の方との会話では、第一声が重要です。その印象をあげるために非常に重要なスキルが笑声(えごえ)=口角を上げて1トーン上の声で話す技法です。スクリプトを読むとどうしても目線が下がり口角が上げづらくなるため、電話越しでも口角を上げて1トーン上の声で電話をすると良いでしょう。

加えて、周囲の会話や雑音が電話に入らないよう気をつけてください。自分では気になっていなくとも、電話口にいろいろな音が入り込み、肝心な内容が聞こえないなんてことも。そうすると、受付から担当者へ正確な内容が伝わらないことになってしまうのです。

 受付は「パスの受け手」、説明のしやすさがカギ!

受付との会話では、先を見据えて話をすることが大切です。

受付の先には担当者がいるため、人から人へ話が伝えられることを想定して、取り次ぎやすい内容で話すことを意識しましょう。

大切なのは、端的に、わかりやすく伝えること。専門用語を多用し、長々と説明をしても、受付は理解できないことがあります。「担当者に取り次ぐ場面」を想定し、話を「そのまま伝えやすいように組み立てて話しましょう。

スクリプトは構成と会話感が命

インサイドセールスのコツを語るうえで、トークスクリプトの存在は欠かせません。その役割を理解し、定期的なスクリプト改善を行うことで、パフォーマンス向上にもつながります。

台本ではなく「対話」の設計書

スクリプトは会話のお手本となるものですが、意図があってその内容が出来上がっています。目的=(アポイント獲得)達成のための対話の設計書なのです。

そのため、基本は、スクリプトに沿って会話をすることが大切です。一方、スクリプトを読むのでなく、相手と対話をすることを忘れてはなりません。一定、会話に慣れてきたら、自分の言葉で話すことも意識してみましょう。

一方、「もう慣れたから、スクリプトはいらない!」はよくないです。人は体調や状況によって、言葉がうまく出ないことがある。パフォーマンスを標準化させるためにキャリア関係なく、テレアポをする人全員が手元に置き、いつでも立ち返れるようにしておきましょう。

枕詞とYESセットは「空気づくり」の武器

YESという言葉ひとつで、人と人の距離は近づきます。 「この業界って〜じゃないですか?!」 「〇〇のサービスってこうじゃないですか?!」

会話の中で小さなYESを複数回言わせることで、大きなYESをもらいやすくする話法を、YESセットと言います。細かい同意が重なると自然と共感が生まれ、その後の決断においても、YESと言いやすくなる心理学的な要素があるのです。業界のトレンド情報、顧客課題やその背景、競合他社などを含めたサービス情報など、多くの方が感じている共通の話題を出すことで、自然とYESが出やすくなるでしょう。

応酬話法で壁を乗り越える

「興味ありません」 この言葉を聞くたびにモチベーションが下がりますよね。そんなネガティブな発言が出てきたとき、応酬話法を取り入れると、巻き返しがはかれます。

応酬話法とは、顧客のネガティブな発言に対して、こちらの意思で切り返して会話展開を行う話法です。例を見てみましょう

お客様:うーん、今は興味ないかな。

セールス:そうですよね〜。ちなみに、どういったところがピンと来なかったですか?

お客様:コストが高いかな。費用対効果が本当に見合うのか分からなくて。

セールス:コスト面ですか。もう少し初期費用が安ければ導入を検討しやすいですよね。

お客様:そうだね。

セールス:実は◯◯の機能を削れば◯◯円から導入が可能でして〜

「どういったところがピンと来なかったですか?」という相手が感じているニーズや課題感の深掘り。「もう少し初期費用が安ければ導入を検討しやすいですよね。」と共感する。そういった切り返しによって、対話が生まれています。

応酬話法は、「断り文句に返す言葉」ではなく、先方がどんな温度感で何を求めているのか。それをキャッチし、スムーズな対話に持ち込むテクニックなんです。

応酬話法について、以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 応酬話法は「マニュアル」「トレーニング」で変わるのか?断られたときの返し方とアポ率向上の極意

見込み客の「比較心理」を先読みする

テレアポをしている中で、「今のサービスで満足してる」「特に切り替えは考えていません」といった現状満足の状態に遭遇することがあります。またサービスの導入を検討していても、「他社との比較」が行われていることは大いにあります。

電話口の相手は、常になにかを“比較“しているんです。ここからは、比較の状況で遭遇しやすいシーンとその対応法を解説します。

「資料送ってください」に全力で甘えない

「資料を送っておいてもらえますか?」 資料を送って安心!ではありません。この言葉の裏には、以下のような事情が考えられます。

●資料を送ってもらえばこの電話から解放される。 ●断るのは面倒だけど、資料だけは見ておこう。 ●今すぐ必要はないが、情報は参考に知っておきたい。 ●興味があるが、資料はもらっておこう。

アポがとれてないからイエスではない。でも断られてないなら、ノーでもない。そんな状況では次のようなアクションをオススメします。

①資料送付+アポをセットに 資料送付の許諾を得た際、相手の反応を見ながら、アポ取りも一緒に行うことを意識しましょう。

●資料送付時のトーク例 もしよろしければ、資料をご覧になった後に、一度詳しいご説明をしたいのですが、〇日はお時間少しございますか?

②資料送付後、時間を空けて追跡コール 資料送付後に連絡をする際にも、ポイントがあります。資料の閲覧確認の会話のみになると、相手が見ていない場合に最悪な展開になります。そこでWhyYouに即した内容を追加すると良いでしょう。

セールス:送付した資料はご覧になっていただけましたでしょうか?

お客様:まだ見れていないです。

セールス:お忙しいかと思いますので、ぜひ時間があるときに、ご覧になってください。ところで、前回資料送付の際に〇〇〇〇とおっしゃってましたが、そんな〇〇様に、ピッタリな提案がありまして……。

 

「メリットがあっても断られる」のはなぜか?

どう考えても、相手にメリットがあるものの、アポがとれない。その背景には、電話口の担当者の立場ゆえの課題があるかもしれません。担当者が抱く課題を知り、それらを解消してあげましょう。

●課題例①_会社にとってはメリットがあるかもしれないが、自分にはメリットがない 全社導入系サービスの場合、サービスによって実現できる価値と電話口の担当者が感じる価値にズレが発生する場合があります。そのため、電話口の担当者の立場に立った、課題の解消・価値の明確化が重要でしょう。

●課題例②_自分が上申のボールを持たなければいけないのが嫌だ 電話口の担当者が話を聞くことで、自身のタスクや仕事が増える懸念を持ちます。そこで、提案をする相手は上司であることを伝えましょう。そのうえで、上司に不確定な情報をあげることを避けるため、担当者として詳細を把握することを伝えることがポイントです。

「比較」の背景を知る

人は、日常的な判断をするなかで、無意識のうちに“比較”をしています。架電の際、相手が何と比較をしているのか、比較対象を理解することが大切です。

他社のサービスはもちろん、過去に他サービス導入をした経験との比較もあります。サービス導入業務によって、自身のコア業務の時間が奪われた、想像した成果が生まれなかった、などさまざまなものがあります。

サービス導入で解消したい課題はもちろん、担当者や企業の本来のミッションをヒアリングし、その点を考慮した会話が重要です。

インサイドセールスのコツは、型+相手に合わせたコミュニケーション

一発で状況を改善する飛び道具はなかなか生まれません。何事にも基本やセオリーがあり、そこに再現性のあるアレンジが加わり、トライアンドエラーやブラッシュアップが繰り返されていくことで、「型」が生まれて行きます。

加えて、相手の立場や状況に合わせたコミュニケーションや配慮によって、人と人の距離は縮まりやすくなります。これらの要素を高めていくことで、インサイドセールスの強い柱が出来上がっていきます。

ぜひ、私たちJYMと一緒に、現状の分析と見直しを行いながら、人や組織を変えてみませんか?

橋本陽介
代表取締役

制作会社でインサイドセールスの構築および販売実践。その後広告代理店にて国内大手から、スタートアップまで200社以上のプランニングを手掛け、部門売り上げ倍増などの成果を元に事業責任を歴任。続くSEOコンサルティング会社で広報採用、アフィリエイト事業の責任者を歴任し社外取締役に就任、並びにJYMを設立。

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