【共愛学園前橋国際大学 x JYM インターンプロジェクト】教授と起業家の共創で生まれた、新たなインターンの形と独自の価値とは
インターンシップが盛んになり、学生と企業の“つながり”は広がっています。一方、大学からは、学生の様子や成果が見えにくいなどの課題があるようです。
JYMでは、2025年5月から共愛学園前橋国際大学 奥田研究室とのインターンプロジェクトがスタートしました。ゼミと起業家の卒業生という関係性があることで、今までにない取り組みになりました。
本プロジェクトの背景を探りながら、大学と企業の共創の在り方を探っていきます。
共愛学園前橋国際大学
1999年、群馬県前橋市にて開設。「共愛・共生の精神」を基本理念とし、国際社会学部とデジタル共創学部(2026年度新設)の2学部を設置。全校生徒の約9割が地元の群馬県出身であり、卒業後も地元企業に就職する生徒が多く、地域に根差した大学として全国から注目を集める。「全国の大学学長が注目する学長」ランキングにて3年連続1位、「全国の大学学長が教育面で評価する大学」ランキングで4位を獲得。※AERA 『大学ランキング2025』https://www.kyoai.ac.jp
奥田 雄一郎 教授
国際社会学部、心理・人間文化コース教授。2018年4月より現職。発達心理学(青年心理学)、教育心理学、社会文化心理学などを専門としている。前橋市教育委員会キャリア教育推進協議会、前橋市アーツカウンシル委員など、委員を多数歴任。
“恩返しの思い”からはじまった

左:橋本 陽介、右:奥田 雄一郎 教授
奥田 雄一郎 教授(以下、奥田教授):なんだかこうやって取材を受けるなんて変な感じ(笑)。卒業して10年以上経って、こういったカタチで関われるのは、教員冥利に尽きるね。
橋本 陽介(以下、橋本):いつもは呑みの席ですし、変な感じですね。
––今回のプロジェクトがはじまったきっかけを教えてください。
橋本:もともと、私は前橋国際大学の奥田ゼミの卒業生であり、卒業後も先生とは定期的に会っていました。
今まで、先生からはたくさんのことを教えていただきましたが、私からは何もお返しができていなかった。いつか、何かの形で恩返しをしたいとずっと思っていて。JYMが創業して数年経ったタイミングもあり、インターンのような取り組みで恩返しがしたいと相談しました。
奥田教授:「恩返しがしたい」という言葉の裏に、同じ背景を持つ後輩に何かをしたいという思いが感じられて本当に嬉しかった。
––具体的に、どのようにプロジェクトが進んでいきましたか?
橋本:2025年の2月ぐらいにご飯を食べながら、僕からこの取り組みの話をさせてもらいました。
JYMのインターンを通じてどんなことを学生にやってもらい、何を得てもらうのか。同時に、JYMが享受する利益についても共有させていただきました。何回かコミュニケーションをとりながら、5月からスタートしました。
奥田教授:橋本さんと会話を重ねているなかで、方針やベースの取り決めはしたものの、細かいところまでをガチガチに固めているわけではありません。今後の発展性を踏まえて、やりながら最適な形をつくっています。
橋本:基本的な方針や互いの期待値、守らなければいけないことなどは擦り合わせたうえでスタートしているため、一定の線引きはされつつもブラッシュアップしていける余白があります。
––このプロジェクトを通じて、学生に期待していたことを教えてください。
奥田教授:橋本さんの社会や人に対する向き合い方、仕事への向き合い方を学生たちに学んでほしい。じっくり関わるなかで、実社会の厳しさや理不尽さ、楽しさを体感してほしいと思っていました。
人と人の関係性から生まれる、新しいインターンシップ
––インターンはいろいろなやり方があると思いますが、近年の状況をどう見ていますか?
奥田教授:ここ数年でインターンが急激に普及しましたね。10年前は全学生の3割程度だった参加割合が現在では約8割へ拡がっていると言われています。
同時に、企業と学生の関係性も多様化し、イイ関係性があればそうでない関係性もある。いわゆる“やりがい搾取”と呼ばれるような、学生たちが都合よく使われてしまっている事例を耳にしたことがあります。
––今回は、一般的なインターンとは違う形ではじまりましたね。
奥田教授:一般的なインターンでは、大学と企業という組織と組織の“つながり”によって、行われることが多いと思います。今回は、研究室と起業家(卒業生)の関係性から生まれたインターンであるため、相互理解がある状態からはじまりました。
まったく知らない関係性だと、見えない部分も多いんですよね。今回のように関係性があると、コミュニケーションをとりやすく、安心して学生を送り出せます。
橋本:大学のキャリアセンターのスタッフも同じ卒業生なので、話が進みやすかったです。
奥田教授:最近は、社会のなかで“つながり”によって生み出される価値が大きな影響をもたらしているよね。今回も、私と橋本さんという“つながり”によって生まれる価値があると思っている。
橋本:奥田ゼミは、昔から卒業生との“つながり”を大切にしていますよね。
奥田教授:そうだね。今も定期的に、都内でも卒業生数十人が集まってくれて食事をしたり、ゼミ生の就職先としてOBOGの企業を紹介することもよくあるね。
––先生は“つながり”の先にどんな期待をしていますか。
奥田教授:都心から離れた環境で学んでいた学生が、卒業後に1人で上京して働くと人間関係に悩むことが多い。
であれば、私からネットワークを提供し、つながるきっかけを与えていきたい。ネットワークを使うか否かはその人の自由ですが、人間関係があることでプラスに働きやすくなりますから。
橋本:奥田ゼミは起業を志しているゼミ生が集まりやすく、実際に卒業して起業している人も多いですよね。
奥田教授:そう、橋本さんのようにね。昔は教授が自身のゼミ生の就職先を決めていた時代もありました。今は選択の自由も進んでいますが、改めて、人と人の関係性を1つの道筋にしてもいいと思うんです。
学生のミッション・ビジョンに対する一貫性を守る

JYMの藤瀬(中央)は、本プロジェクトのマネジメントを担当
––先生はインターン生の様子をどうやって把握していますか?
藤瀬:先生にはSlackに参加していただき、インターン生のコミュニケーションや業務状況を見える化しています。
奥田教授:はじめての取り組みであること、ゼミから送り出していることもあり、学生の状況はなるべく把握したかった。Slackを通じて、JYMの方々と学生の様子がよくわかり、安心感につながりました。
––JYMの方々とのやりとりを通じてどう感じましたか。
奥田教授:社員のみなさんは、本当に丁寧に関わっていただいています。業務上の必要なコミュニケーションのなかにプラスαの配慮やサポートが皆見え、安心していますし、学生の成長にもつながっています。
インターンについて、学生視点のインタビュー記事はこちら
藤瀬:私たちは“インターンだから”と区別をせず、社員として接してきました。社会や営業を学びにきている側面があるため、それらしっかり教えながら、JYMの一員として一緒に仕事をしてきました。
橋本:私は仕事で関わる人に対して、JYMに関わることで幸せになってほしいと常に思っています。特に一緒に働く仲間は関係性も深くなるため、その思いを強く持っています。インターン生の幸せのためにどのような接し方が最適か、を考えて接するようにしていましたね。
実務的な視点では、事前に取り決めた方針に対して、社員間で一貫性が保たれているかは常に意識していました。
奥田教授:一貫性は、仕事や人の状況に影響を受けやすいけれど、どうやって保ってたのかは気になる。
橋本:インターン生の一番優先すべきは学業。インターンは、学業をブーストする役割だと思っています。そして、学業の先には、それぞれの学生の幸せな人生が控えている。学業・インターン・人生の関係性をいつも頭に入れ、行動に落とし込んでいます。
奥田教授:行動の一貫性って難しいよね。自分たちは一貫性があると思っても、言動の変化が学生に戸惑いを与えてしまうこともある。それを、ミッションやビジョンの視点から考えているんだね。
橋本:事前の先生との会話で、ミッション・ビジョンの共有ができていたのでやりやすかったです。
社員も学び、互いに成長し合える関係性に
––今回のインターンによって、JYMの社内にどんな影響がありましたか?
藤瀬:私たち自身もさまざまな学びがありました。今までは中途入社の社員が多かったため、気付きにくかったですが、「新卒社員だったらこうなんだろうな」と照らし合わせて考えるきっかけになりました。
奥田教授:最近、企業の方から、新卒社員とコミュニケーションがうまく取れない、ミスマッチによる早期退社が増えている、などの悩みを聞くことがあります。インターンは、そういった課題に備える機会にもなるよね。
藤瀬:JYMは20代半ば〜30代が中心のメンバーです。近い年代で接しているため、価値観や考え方が固まってしまうんですよね。でも、学生と接することで、日々の当たり前だったことを見直したり、基本に立ち返るきっかけになりました。同時に、学生からのリスペクトが自信につながることもありました。
奥田教授:スタートアップ企業だと、大学や学生と関わらないことも多いと聞いている。まずは、接点を持つことが大事だよね。
橋本:ホントにそうで、群馬に来て先生や学生と関わるなかで、違う社会を知れるのは学びになりました。
奥田教授:東京と群馬の距離があるなかで、中間報告回にみなさんで来てくれたことはとても感謝しています。顔の見える関係を大切にしてくれていることはとてもありがたい。
ゼミと起業家の共創によって広がる可能性
––改めて今回の取り組みを振り返り、今後の展望を聞かせてください。
奥田教授:今回の取り組みは、学生たちにとっても良い機会になり、私自身も得るものがありました。JYMに感謝しています。まだまだ、始まったばかりなので、今後の発展させていきたいですね。また、私自身は学者なので、研究視点でも見ていきたい。
––具体的にどんな研究でしょうか?
奥田教授:今回のインターンは、一般的な制度とは違う、研究室と起業家の卒業生による関係性から生まれました。独自性や特殊性のある事例だと思います。その効果や影響をデータとして形にしたいと思っています。
橋本:私たちもぜひ、研究に協力させていただきたいです。私の野望としては、奥田ゼミの生徒は、全員一度はJYMのインターンを経験するような仕組みに発展させていきたい。奥田ゼミインターンを学内に広げ、この事例を他の学校にも広めていきたいですね。
また、今回の取り組みを活かして、大学生や若手の方がより実践的なビジネスを学べる、充実したプログラム(有料予定)を提供していきたいと思っています。
奥田教授:まさに私がキャリアプランニングの授業で教えているのが、大学での学びと社会との関連性です。今後の広がりがとても楽しみです。